<報告>被爆三世の家族写真展 関連企画「8/1ギャラリートーク」   :8月28日(木)~ヒューマンズプラザで開催予定

日 時:2025年8月1日 18:30 ~ 20:30

講 師:堂畝 紘子さん(「被爆三世・四世プロジェクト これからの私たちは」主宰、写真家)

※このギャラリートークは、「パネル手展 被爆三世の家族写真展 生きて、繋いで」(7月29日~8月17日)の中で開催しました。


ギャラリートーク開始前、ゲストである堂畝さんが、萱野小学校の8.6授業用の撮影に関わられるとのことで、

展示コーナーでそちらの撮影が行われました。その撮影現場を 日常よく利用している小中学生たち7~8人が見物する場も立ち上がり、そのメンバーと堂畝さんが自然な形で出会えるシーンがありました。

そちらを皮切りに、その後のギャラリートークも堂畝さん・参加者との双方向の交流となった1日になりました。


ギャラリートーク参加者は、25名。高校生~70代の方々。

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●本番の堂畝さんの話題を以下ざっくりお伝えすると…

①「写真とわたし」
・同級生は、ほぼ平和教育アレルギーを示していた。                                             

 自分は、たまたま市内での多様なイベントで知る機会が多く、

 時系列や自分に引き寄せて理解することができたように思う。
・高校時代に 友だちと沖縄へ。友だちとは別行動で1人、ひめゆり資料館をはじめとして南部の戦跡を廻る。
 (事前学習していたつもりだったが、現場の語りべさんや展示の数々は重く怖く、一人で抱えきれなかった)
・後に東京にて写真屋の仕事に関わる。
 その勤務時代に「遺影がない…」とカウンターで涙するお客さんを多く見、

 どうにかできないか四苦八苦した経験をもつ。そういった出来事が後に「生きた証」を残したい

 という思うに発展し、カメラマンになる決意につながっていく。

・その後居住地を広島に移し、何か平和のための活動をと活動開始。
 写真技術は見切り発車で、諸先輩からのお叱りを受ける。
 それもあって6年間本格的な写真を学ぶ。

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②「被爆三世をテーマにした経緯」
・広島で平和のための活動のテーマを探して悩む。
・友だちから、アドバイスを受け、
 悩みながらもそのテーマでの写真撮影を始める。
・「被爆三世」をテーマに写真展をやってみると反響があった。
 けれど、批判的な感想あったり、同世代の被爆三世の感想は、
 「身内に被爆者はいるが、被爆体験はきいたことがない(あまり関心がない)」との意見が多かった。
 そのため、可能であれば被爆者のご家族にも撮影に参加してもらうようになり、                         

 その際に家族内で対話する時間を作るようになった
・この活動が「被爆体験の継承」になるのではないかと思い込んでやっていた時もあったが、

 語れない被爆者や聞く手段のない家族も多く、写真家として自分が撮影している作品の本質に

 気づくまで長い時間を要した。ある時、自分が撮影しているのは「命の継承}と気づき、

 命のがりを可視化することが自分の写真表現でできる、

 平和を考えるためのきっかけ作りになると考えるようになった。
・2018 年に被爆地以外(広島県・長崎県以外)でも写真展の開催をやり始めた。
 参加者の多くが、作品を見てご自身の家族の話しをしてくれる
 同じ時代を生きた、という共通性で話しを深めることに意義を感じる。

・そんな経緯の中で「生命の重み」を感じ、パネル作品展の意義を重ねている途上。

 「キャプション無い作品も 命の繋がりということが写真を通して可視化され、意味はある」と

 ある人の意見で考えさせれらる。
 そんな事からも現時点では、「生命の継承としての作品展示として」活動を続けている。

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③「戦争体験や平和の継承について」
・過去現在の教育場面の中で、考える機会が与えられてないことは問題だと思う。

・最近自分としては、若い世代が継承活動を行うために、時間,お金,メンタルなどを削らなければ                       

 継続した活動を行えない実情があることを問題視している。

・そういったことから自分自身は、「活動してる仲間との繋がり作り」と
 「活動を辞める権利を保障して気楽な気持ちでやれる工夫」をこころがけている。

・写真やアートは、過去も現在も戦意高揚に使われるこわさもある。
・今後したい事は沢山ある。例えば「写真作品の見方」、「写真機の歴史」などから戦争を考える、
 といった多面性で戦争を考える機会の創出に取り組みたいと想いがめぐる。

 その一環として、ピンホールカメラ作りなどのワークショップを取入れた企画も開催している。

・これからの人たちには、
 自分の「できること」「好きなこと」から、感じたり、考える、を大切にやってほしい。

というお話で締めくくられました。

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●参加者の感想から一部、ご紹介します。

堂畝さんの話を聞く中で、「平和の為の活動は、誰が何をしても良い」という話がとても印象に残りました。堂畝さんは写真を撮り、命の繋がりを写真でとらえることが平和を考える方法だと仰っていました。その形にたどり着くまで様々な葛藤や悩みがあったことを伺い、とても興味深かったし、気持ちの変化や、揺るがない信念にとても感銘を受けました。
自分自身もどんな方法でも平和について考えたり、実現する方法を模索しても良いんだと思うことができました。お話を聞いた後に写真パネルを拝見しましたが、写真から命の繋がりや暖かみを感じることができました。貴重なお話をありがとうございました。(20代)


自分は、戦争の時はまだ生まれてなくて平和学習でしか知らなくて,被爆3世という言葉もあまりなじみがなかったのですが今回の話を聞いて とても学びがあり自分も後世に継承していかないといけないなと感じました。
さらに、堂畝さんの話の中で「その人のおかげで私たちがいる」という言葉にも心打たれました。
本当に、その人がいなかったら私はここにいないんだなぁ〜と思いました。一人一人ちゃんとつながって誰がかけてもいけないと感じました。
自分の中で思ったことなんですがモノクロ写真のほうがカラー写真より伝わるものがあるって思いました。自分でもモノクロ写真を撮ってみたいと思いました。その時、その時を後世に残すために、、。
堂畝さん、途中参加ではありましたが貴重な話をありがとうございました。
私もこれから、考え続けていかなきゃいけないと感じました。(10代)


堂畝さんのような事実を写真として、物として残す事に凄く意義と必要性、そして、これからの世代への学びの1歩としても教材になり得るような活動だと感じました。(10代)


●今回の企画で終わり、ということでなく、
 今を生きる時代の中で、何が大切なのか、誰にどんな場面で何を伝えていけるのか・・・
 一人が考えることは、全体から見ると砂漠の中で、一滴でしかなりえませんが、
 みなさんと一緒に考え続けていきたいと思いました。

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今後のパネル展の開催は、
箕面市内では、ヒューマンズプラザで行われます。
この機会に、ぜひ写真作品や堂畝さんの文章に触れてみてください。

【パネル展2】
・日程:2025年8月28日(木)〜 9月2日(火)(9月1日休館)
・時間:09:00~18:30
・場所:ヒューマンズプラザ・2階大会議室(桜ヶ丘人権文化センター)
・問合せ:072‐721-4800


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