日 時:2024年12月8日 13:30 ~ 15:30
講 師:BURAKU HERITAGE(ブラク ヘリテイジ)
※このセミナーは【らいとぴあ21社会課題セミナー】と【みのお市民人権フォーラム(部落分科会)】とで共催し、関連で、パネル展「日常の中にある部落差別~"マイクロアグレッション"ってなに?~」(12月1日~12月11日)も行いました。
らいとぴあ21 3階ホールで、BURAKU HERITAGE(ブラク ヘイリテイジ)の皆さんを講師としてお迎えし、
「マイクロアグレッション*¹にまつわる"モヤモヤ ぐるぐる"を皆さんのメッセージから考えます」をテーマに講演会がおこなわれました。
*¹.マイクロアグレッションとは、ありふれた日常の中にある、無意識やさりげない形で発せられる言動や態度により、特定の個人や集団に対して偏見や差別を含んだメッセージをおくってしまう行為を意味します。
この講演に先立ち、らいとぴあではスタッフの勉強会や展示コーナーでのパネル展が開催されました。
勉強会では、マイクロアグレッションとは何か、参加者どうしの経験をふりかえりながら、理解を深めました。
なんだかモヤモヤした経験をしたことはあるけれど、それを言葉にして伝えることは難しいと感じました。
<事前勉強会①> <事前勉強会②>
パネル展では、部落出身者が日常的に受けている差別的な言動や状況が紹介され、
展示を見た人が当事者の”しんどさ、モヤモヤ”感を追体験できるようになっていました。
パネルの裏面には、なぜそれが差別になるのか、どのように当事者を傷つけるのかということがとてもわかりやすく説明されていました。
勉強会で”モヤモヤ”を言葉にする難しさを体験したからこそ、それがうまく表現された展示に驚きを感じました。
講演会当日は能登の物産展と、ピースサイクルからの出店で来場者をお迎えしました。
会場内にはどんどん人が集まり、ホールが満員になるほどでした。
最初に近くに座った人たちと、自己紹介と最近あった良いことを共有する時間が設けられ、和やかな雰囲気で講演が始まりました。
第一部はマイクロアグレッションとは何かをわかりやすく説明していただきました。その中で、パネル展制作の裏側について聞くことができました。
パネル一つ一つの内容はBURAKU HERITAGEの皆さんが「どうやったらみんなに伝わるか、
理解してもらえるか」なやみになやんで、やっとの思いで作られたものでした。
”モヤモヤ”と向き合うことは誰にとっても決して簡単なことではありません。
”モヤモヤ”を消化していく過程で、再び傷つくこともあったでしょう。
対話の中で「あれ、私たち結構頑張って作ったよね」という発言がありましたが、 その言葉から、その過程がいかに大変だったかを感じ取ることができました。
そして、同じように傷つく人を減らしたいという思いが伝わって来ました。
BURAKU HERITAGEの皆さんのバックグラウンドを知る中で、ポジティブな話だけでは語れないマイクロアグレッションについての講演ですが、
講演は終始和やかでアットホームな雰囲気で進められました。
お話をする順番がまわってきても、「ちょっとパスで」とためらったり、反対に「しゃべりすぎたかな」と振り返ったり...
自然体でお話をされるBURAKU HERITAGEの皆さんだからこそ作り出せる雰囲気なのだと感じました。
第二部は、ラジオ形式で参加者からのメッセージや質問に講師の皆さんがお答えするというユニークなセッションが
オールナイトニッポンのテーマ曲 Bitter Sweet Samba と共に始まりました。
講師の皆さんが机を合わせ、真ん中に集められた参加者からの質問用紙を読み上げ、話し合います。
その中には「マイクロアグレッションをしないようにするには、どのように気をつけたらいいですか?」という質問が。
講演に参加した皆さんが感じた疑問だと思います。ここで、講師の方からはこんな話がありました。
人はみんなマジョリティ性とマイノリティ性を持っていて、立場が変われば、マイクロアグレッションする側にも、受ける側にもなる。
だから「差別はするものではなく、あるもの」社会の中にあるものだと認識することが大切だと。
ですから、ひとりひとりが自分が差別してしまうこともあるという前提をふまえ、言動に注意すること。
また、”モヤモヤ”を感じた人がそれを共有できる雰囲気をつくることが大切です。
さらに、当事者が自身が抱える”モヤモヤ”を人に説明する大変さやプレッシャーを減らすためにも、当事者の味方になり、
一緒に乗り越えていく「アライ*²」になることも重要な一歩です。ヒーローのように当事者を救うことはできなくても、
差別的な発言があった際に、笑わない、当事者に自分は味方だと視線を送る、
発言した人に何気なく「それどういう意味?」と聞いてみるなど「アライ」になる方法はたくさんあります。
講演の終わりには、再び近くの人と内容を振り返り、感想を述べあいました。
そして講演終了時にはBURAKU HERITAGEの皆さんを労うように大きな拍手が沸き起こりました。
参加者の中には充実した講演の内容に満足している様子の人や、講演の内容をぐるぐると考えている様子の人など様々でしたが、
日常の中にあるマイクロアグレッションについて考えるとても良い機会になったと思います。
最後にこの講演会を通して学んだことをシェアさせてください。
それは、マイクロアグレッションについて学ぶことは、自分自身を癒すことでもあるということです。
誰しも人に共感されにくい悩みやしんどさを経験したことがあると思いますが、
多くの場合は「気にしすぎかな」「傷つきやすい自分がいけないのかな」と考えてしまいます。
マイクロアグレッションという言葉は、その共感されにくい悩みやしんどさである”モヤモヤ”を、 それは紛れもない攻撃であると教えてくれます。そして「私たちはその”モヤモヤ”を苦しいと言っていいのだ」と背中を押してくれます。
マイクロアグレッションという言葉に出会うことで、”モヤモヤ”を抱える皆さんの心が少しでも軽くなることを願います。
参加者 H