<報告>4月27日まなびカフェ『帰ってきた!ハラール・カフェ vol.4』

2019年4月27日(土曜日)まなびカフェ

『帰ってきた!ハラール・カフェ vol.4 対話編―ムスリムってなんなん?―』

ゲスト:マインさん、アブドさん、他

司会:桂さん


昨年度、ゲストがプレゼンテーションする形で開催されたハラール・カフェ。

今回は、「ムスリムってなんなん?」をテーマに、ゲストを囲んで思い思いにお話しする形で開かれました。

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この日のゲスト、アブドさんはエジプト出身。

東京の大学に留学経験があり、エジプトで仕事をしたのち、再び来日し阪大で研究をしています。

マインさんはインド出身。

在日歴は20年近く、現在は阪大で日本近代文学の教壇に立っています。


さて、ムスリムってなんなん?

イスラム教徒のこと、というのが最も一般的な解釈です。

しかし、イスラム教の宗教的概念を指して用いられることもあるし、イスラム教が民族単位でさまざまな尺度を持つために民族的な意味合いを含めて用いられることもあります。

つまり、ムスリムって○○という答えを知るには、イスラム教ってなんなん?を考える必要があります。


2000年に起こった同時多発テロ以降、イスラム教=テロリスト、暴力的なもの、というイメージが植え付けられています。

もともとイスラム教になじみのなかった日本社会では特に顕著ですが、世界的にその傾向が見られます。

しかし、アブドさんによると世界の4人に1人がイスラム教徒。

また、イスラム教に改宗する人がいても、イスラム教をやめる、という人はほとんどいないそうです。

それは、イスラム教が非常に合理的な教えであり、自分の生き方を自由にしてくれるだからだと、アブドさんは言います。


イスラム教の経典は「コーラン」と呼ばれ、神ア・ラーによって遣わされた預言者ムハンマドがア・ラーの言葉を文字にまとめました。

そこには、善い行いと悪い行いが書かれており、最も大切な善い行いは「ア・ラーを信じること」だそうです。

特別に信仰心をもたない私にとって、イスラム教徒がア・ラーを信じるのは当たり前のことのように感じました。

ア・ラーを信じることはすべての基盤で、ピラミッドの一番下にあり、行いはその上に積み重ねていくのが私のイメージでした。

しかし、ゲストの皆さんのお話をきくと、ア・ラーを信じることが絶対的な中心であり、むしろピラミッドの最上位にあるようなイメージだと感じました。

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欲望を満たそうとする人間の行為は、その欲望が自分の中心に来てしまっており、神の代わりにそれを信仰していることになる。

(例えば金儲けのことばっかり考える、酒におぼれる…など)というのは、なるほど、と思いますし、

そのような自分の状態を正そうとするとき、医療や自分の精神論ではなく、ア・ラーの教えに背く行為である、

ということで得心が行くなら、確かに自分を自由にしているように思えました。


ところで、日本でもなじみの出てきた「ハラール食品」という言葉は、イスラム教徒が食べられるもの、という認識が広がっていると思います。

ハラールとは、アラビア語で「許されたもの」という意味だそうです。

お祈りを捧げて処理・調理された「許し」を得た食べ物がハラール食品。

きちんと働いて自分の力で得たお金もハラール。

一方で、盗んできたお金のような、コーランによって悪いことだと位置づけられる「許されないもの」を「ハラーム」というそうです。

お話から推測するに、善悪の価値観は、イスラム教に限られたものというよりは、案外普遍的なもののようです。


ただ、時代や社会情勢によって善悪の区別は一律ではありません。

コーランに示された善悪の概念をどのように解釈するか、それは民族や国・地方によって幅があるそうです。

また、コーランの根本的な教義は、人間は平等であること。

「神は人間を男と女から作り、いろいろな民族に分けた。それは互いを知り合うためだ」

(正確ではありません…あしからず)とコーランにあるそうです。


ヒジャブやブルカのような、女性だけが身につけることを義務付けられている服装を見ると、イスラム教は女性にとって抑制的な印象を受けこともあると思います。

けれど、ヒジャブは一方で「女性」が商品化される対象になりやすく、男性の視線を集めてしまうことへの女性たち自身の防御である側面もあり、「女性」を欲望の対象とすることへの拒絶という積極的な意思表示として着ている人もいると聞くと、印象がまた違うものにもなりました。

(*男女平等の捉え方や感じ方は、みなさん個々人や着用者個人の捉え方によって異なる部分はあると思います。ここではあくまでも1つの視点という意味で掲載しています。)


巨大なテロリスト集団と化したISIS(イスラム国)については、世界中のイスラム教学者がISISの思想は教義からはずれている、イスラム教ではない、とする声明をまとめ、世界に発信したそうです。

しかし、日本のメディアをはじめ、欧米の主要メディアもその声明を大きく取り上げることはなく、一般市民にとって、ISIS=イスラム教=テロリストの図式を否定する根拠が示されないままになっています。

この図式のままのほうが都合がいい人々がいるように思えてなりません。


最後に、イスラム教を信じる人の目的はなんですか、という素朴な質問が投げかけられました。

答えは、自分が生を受けたこの世を安心して暮らし、死後は天国に行くこと、でした。


天国に行くために善行を重ねるわけですが、それは決して、「自分が天国に行くため」ではなく、「ア・ラーによって命じられた行いである」から。

ア・ラーに従って善行をした結果、ア・ラーとの関係性が良くなり、平安な現世を生きられ、死後も平安が保たれる、ということのようです。

さあ、ムスリムってなんなん?の答えは…今回のお話だけでは全てはわかりませんでした。

多様でありながら、唯一の教えを絶対的に共有するイスラム教。ハラールカフェはあと2回あるので、その奥深さにもうちょっと近づけたらいいな。


文・まなびカフェブロガー Nさん


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http://raipinews.seesaa.net/article/455139195.html


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2019年5月16日(木曜日)午後6時半から8時

【ファッションとして着こなす着物術】


いつか着たいと買ったり譲り受けた着物。

本や雑誌で自分なりに研究したり先生に習ってみたけど、これで本当にいいの・・・?

正統派の基本を押さえながらも今の時代に生きる自分らしい着物の着こなしを実践するゲストが語る、

今に至るまでのお話と、日常使いの着物の楽しみ方の提案。

ワクワクする時間をご一緒しませんか。


場所:らいとぴあ21 1階展示コーナー

ゲスト:沼田 美奈子さん(きものレッスンさくらさくら代表)

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らいとぴあ21「まなびカフェ」とは?

世の中のいろいろや最近ちょっと気になることを、少人数制でアットホームにまなび、考える「まなびカフェ」。各回の素敵なゲストの話を聞いて、みんなでわいわい意見をかわすといつも見ている世界が少し違って見えるかもしれません。普段は逢えないいろんな人、いろんな世界をのぞくことで、インターネットやテレビ、新聞などでは味わえない生きたまなびを楽しむ場です。スケジュールや各回詳細はまなびカフェイベントページ(Facebook)や、らいとぴあ21のブログに掲載のチラシPDFデータをご覧ください。


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