2019年2月7日(木曜日)18:30~20:00 まなびカフェ
近くて遠い、オキナワ
ゲスト:いちゃりば!カタリバ!
仲田幸司さん(大阪大学大学院)
神谷敦子さん(箕面市国際交流協会)
中村雄介(NPO法人暮らしづくりネットワーク北芝)
すっかり暗くなった国道171号線をらいとぴあ21に向かって自転車をこぐ。
天気予報によると週末には大寒波がくるそうだ。2月初旬の冷たい風のせいで、
目的地に到着する頃には、マフラーからのぞくわたしの鼻と耳は真っ赤に染まっていた。
沖縄ではもう、アカバナー(ハイビスカス)が咲いているという。
会場では、親友であり、今回のまなびカフェの主催者のひとりであるコージ君(仲田幸司)が、暖かい沖縄そばを用意して待っていた。
コシのある麺をすすりながら世間話をしているうちに、あっという間に開始時間が近づいてくる。
集まったのは10人弱。
まずは「わたしとオキナワ」というテーマで、参加者ひとりひとりが発言をしていった。
主催者の中村雄介さん、コージ君、神谷敦子さんは、3人とも沖縄にルーツを持ってはいるが、アイデンティティのありようは様々だ。
例えば、大阪に生まれ育った中村さんが自身のルーツを意識するようになったのは、
数年前、死んだ祖父の散骨のために沖縄に足を運んだときだったという。
子ども時代のほとんどを沖縄で過ごした神谷さんは、その後続く大阪生活、アメリカ生活で、沖縄出身者であることを隠していた時期があったそうだ。
沖縄の歴史や文化、基地問題に対する、本土やアメリカの人々の無知や無関心がその原因であった。
沖縄で生まれ育ち、大学進学のため大阪に移り住んだコージ君は、東日本大震災に際して沖縄と日本の間にある差別関係を明確に意識したと語る。東北の復興のため団結を呼びかける当時の日本社会を前に、彼は「果たして今まで日本は、沖縄に対して同じことをしてくれたことがあっただろうか」と強い違和感を覚えたそうだ。
一方、まなびカフェに集った人々は、決して沖縄人アイデンティティを持つ者ばかりではない。
例えばある年配の男性は被差別部落出身で、学生時代に知り合った沖縄系の友人と何となく波長があったことを覚えていると語っていた。
またある女性は、中学生の頃、米軍基地内に住むアメリカ人家族の元でホームステイをしたことをきっかけに、沖縄に関心を持つようになったという。
平和学習の一環として、沖縄への修学旅行をいかに実り多いものにするか考えを巡らせている小学校教員もいた。
参加者ひとりひとりが語るオキナワの近景、遠景。
わたしたちが住む大阪は物理的には沖縄と遠く離れているが、必ずしもそれに心理的距離感を比例させる必要はない。
それどころか、わたしたち本土人の政治的決定は、沖縄の人々の生活に直結している。
まなびカフェでは、現在日本各地で行われている「基地を引き取る運動」や、東京都小金井市で採択された、米軍基地移設に関する公正で民主的な議論を要求する意見書を取り上げた書籍『沖縄発新しい提案辺野古新基地を止める民主主義の実践』も紹介された。
沖縄は日本各地、いや、世界各地に多くの移民を輩出してきた。
実際わたしたちの社会は、沖縄にルーツを持つ人々を多く内包している。
彼らが胸を張って自らのアイデンティティを語り、自らの考えを主張してゆくことができるように、
今後さらに沖縄のことを学び、知り、活動してゆきたいと思う。
文:まなびカフェブロガー ちぇじゅこさん
次回の「まなびカフェ」はこちら
【モンゴルひつじワークショップ!】
モンゴルのひつじをキーワードに集まった手仕事グループがお届けする企画。
場所:らいとぴあ21 1階展示コーナー
参加費:各ブース 500~1,000円程度(こどもは300円~500円程度)
定員:1時間の中で4人ずつ参加できます(お申込み先着順)
ゲスト:やまねの森さん(さをり織りワークショップ講師)
ちこらぼさん(羊毛フェルトワークショップ講師)
ひつじの惑星さん(羊毛フェルトで作るひつじのミニチュアワークショップ講師)
◆らいとぴあ21「まなびカフェ」とは?
世の中のいろいろや最近ちょっと気になることを、少人数制でアットホームにまなび、考える「まなびカフェ」。各回の素敵なゲストの話を聞いて、みんなでわいわい意見をかわすといつも見ている世界が少し違って見えるかもしれません。普段は逢えないいろんな人、いろんな世界をのぞくことで、インターネットやテレビ、新聞などでは味わえない生きた”まなび”を楽しむ場です。スケジュールや各回詳細はまなびカフェイベントページ(Facebook)や、らいとぴあ21のブログに掲載のチラシPDFデータをご覧ください。