【おしゃべりカフェ】“死”に親しみながら、「いのち」を考える
ゲスト:尾角光美さん(一般社団法人リヴオン代表)
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今回のまなびカフェのテーマは“死”。死という言葉を聞いたとき、みなさんは何をイメージされるでしょうか?親しい誰かが亡くなった…。かわいがっていたペットが死んでしまった…。生命が終了したとき、それを感じたときに死を感じることが多いのではないでしょうか。
と同時に、何となく避けてしまいたい話題でもある“死”。避けたいがために、死に直面したとき独りで抱え込んでしまう人も多いはず。今回の講師・尾角光美さんはそんな“死”とどういうふうに向きあうのか、分かりやすく話してくださいました。
尾角さんはグリーフケアを専門とされています。グリーフとは直訳すれば、「深い悲しみ・悲嘆」という意味になります。誰かを亡くしたときだけでなく、何かを失ったとき(職業、身体、大切にしていたモノ…)に巻き起こる様々な感情。また死別などから出てくる心、身体、家族などへの影響。そういった問題を独りで抱え込むのではなく、みんなで一緒に考えていける場を尾角さんは運営されています。

死に面したときに感じる感情は人それぞれ。喪失感からくるつらさだけではなく、安心感を感じる人もいたり…。グリーフケアにとって大切なのはそれらの感情を否定しないことだそうです。残された人は死から立ち直ろうとしたり、乗り越えようとしたりします。それ自体は悪いことではないのですが、立ち直ろうとするプロセスの中で無理がでてきてしまい、生き苦しさに繋がってしまう…。
「あらゆる感情は自然のもの」「ゆらいでもかまわない」は尾角さんの言葉です。死は感情を抑え込むものではなく、立ち直るものでもなく、また乗り越えるものでもない。自分の中に湧き起こる様々な感情を「抱え」ながら生きていくことが大切なんだと思いました。

尾角さんは職業柄、仏教のお坊さんとお話をされることがあるそうです。葬式など、お寺は死が身近にある場所。どんな話をしたらいいのか考えるお坊さんも多いとか。僕は職業柄、地域のおばちゃんたちと過ごすことが多いです。そういえば、最近おばちゃんたちがよく地域内のお寺にいってお話を聞いている姿を目にしています。残された人たちが集まって、色々とお話をする場。もしかしたら、この地域にも自然とグリーフケアを行っている場があるのかも。
さらに言ってしまうと、僕は実はクリスチャンです。僕自身も色々とあって洗礼を受けたわけですが、教会も仏教のお寺と同じような役割を担っているときがあります。仏教とキリスト教という違いはあれども、尾角さんの「宗教にも果たすべき役割がある」という言葉は心に染みました。
何だかこうして書いてみると、「死と向き合うこと」は自分の「人生」と向き合うことなのではないかと今は思います。死に直面したとき、残された自分は死と向き合いながらどう生きていくのか。死を考えると同時に“生きる”ということも深く考えてみたいな、と思った学びカフェでした。
文・まなびカフェブロガー もっくん
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