2018年2月22日 まなびカフェ【仮想通貨ってなんだろう?-本当は怖い?「ビットコイン」-】
ゲスト:安木新一郎さん(京都経済短期大学准教授)

テレビや新聞で見たり聞いたりする機会が増えたビットコイン。「仮想通貨」という言葉とともに、用語としては知っているけど、一体どういうものなのかはどうもわからない。知らないままでもいいかと思っていたら、今日のまなびカフェのテーマはビットコインだと言うので、参加してみました。
教えてくださったのは、京都経済短期大学で教鞭をとる安木新一郎さん。
仮想通貨って何だろう、と題して、初心者向けにお話ししてくださいました。
ビットコイン(以下BTC)を考える前に、そもそも「お金とは?」という話から。
貨幣が貨幣たるためには、3つの条件を備える必要があります。
ひとつ目は、「価値尺度」。
モノの価値を図る汎用的な単位であること。投機目的での売買対象となっているBTCは、日々レートが変わるため、価値尺度を持っているとは言えません。
ふたつ目は、「支払い手段」。
安木さんのおっしゃるには、貨幣にとって最も本質的な条件だそうです。貨幣で商品を買うと、その商品の所有権が移る、それだけで証文も何もなくても取引が成立することが法的に保証されている。だからみんな安心してお金でモノを買えるのです。現段階でBCTは、どこでも買い物できるわけではないという点で、貨幣ではないと言えます。
みっつ目は、「価値保護」。
変質せずに、通貨としての価値を維持できることです。昔の日本では、年貢によって、米やそのほかの農作物などがお金のような役割を持っていましたが、それらは変質したり、腐ったりするので、時間とともに価値が減衰してしまいます。
また、現在の管理通貨制度において、貨幣とは、各国の中央機関(日本では日本銀行、アメリカではFed)が発行・管理しています。とはいえ、造幣局が貨幣を製造していることと、貨幣が市場へ出ることは別のことと考えなくてはいけません。
貨幣を生み出しているのは、実は市中にある普通の銀行で、それらが個人にお金を貸すことで貨幣が生まれています。つまり、預金のデータこそが貨幣の実体で、私たちの財布に入っている、諭吉おじさんや平等院鳳凰堂のコインたちは、世を忍ぶ仮の姿だというから驚きです。
では、貨幣として位置付けるかどうかも定かではない、公的な保証のない通貨が、なぜ登場したのでしょうか。

海外送金にかかる手数料が非常に高額であるためです。給与の送金や、国を超えた商取引において、手数料はばかになりません。BTCは、手数料をほとんどかけずに、お互いに決めた為替レートで取引できます。BTCのまま保持してもいいし、自分の使う通貨に換金することもでき、とても便利です。

ただ、そもそもは、ハッカーが特定の仲間内でデータをやり取りする暗号遊びで、ブロックチェーンと呼ばれる情報技術だったそうです。とてもよくできたシステムだから、不特定多数でも使えるようになっていったんですね。
このブロックチェーンは難解で、残念ながら、完全には理解できませんでした。BCTの総額は2100万BTCと最初に決められており、取引の履歴が記された「ブロック」と呼ばれるものが満杯になると、数学的な問題が出題されるそうです。その問題を解くと、次の新しいブロックがつながります(マイニング)。
このブロックをつなげていくことで、BCTの信頼度があがります。問題を最初に解いた人だけが報酬をもらえるので、みなこぞって問題を解くのですが、非常に難解なため、スーパーコンピューターのような高スペックのコンピューターがなければ、早く解くことができないそうです。
また、与えられる報酬は、マイニングが進むと減るように設計されているので、理論上132年後にマイニングは終了します。ただ、報酬をたくさん得たい人々は、より報酬の高いブロックを狙っていくので、実際はもっと早い段階でビットコインをマイニングする人はいなくなり、次々に登場する新たな仮想通貨に流れていくだろうということです。
うまく説明できないので、なんのことだかよくわかりませんね!!
詳しく知りたい方は、仮想通貨の本を読みまくってくださいね。
ここまで、お金とBTCの成り立ちについて学びましたが、まだ実態がよくわかりません。それは、自分が店頭でモノを買うときには使えない(一部店舗では使える)ことが大きな原因だと思います。
それなのに、現在1BCTのレートは120万円である、とか、海外からの観光客がBCTで大量に買い物している、とか、どうも盛り上がっている人たちもいるらしいのはなぜでしょう。2000年ころに仮想通貨が登場したときはそれほど注目されず、2008年のリーマンショック以降、既存の金融商品以外に投機先を求めた市場が、2009年に登場したBCTに食いついたことで、一気に注目が集まりました。
また、海外から日本に持ち込める貨幣には制限があるので、爆買いするためにありとあらゆるお金を持ち込もうとした観光客からの需要も高まったのだそうです。納得です。
結局、BCTは貨幣なのか否か。
安木さんの考えは、価値尺度を持っていない(レートが日々移り変わっている)ので今はまだ貨幣ではないが、この投機バブルが一度はじけて落ち着けば、貨幣になり得るとのこと。
世界最古の通貨は、海に無数に転がるタカラガイの貝殻であったし、かつて、ある民族は物理実体のない「ヤ」と呼ばれる単位の貨幣を使用していたこともある。その意味で、中央銀行の発行する法定通貨だけが貨幣であるとの定義はあまり意味をなさないと言えます。らいとぴあでまーぶという通貨が元気に流通しているのを見ると、うなずけます。
とはいえ、明日スーパーに行ったら、大根¥198(1/1億BCT 2/22レート)なんて書いてあったらどうしよう?
次回のまなびカフェは・・・
「TVゲームからの脱却 ~あそびで育つ子どもの心~ 」
TVゲームや携帯電話などでいつでもどこでもゲームが楽しめる時代。外で遊ぶ子どもたちの姿もめっきり見かけなくなりました、そんな時代だからこそ、子どものあそびについて一緒に考えてみませんか?
あそびと子どもの育ちについて、長年子どもたちと成長を共にしてきた経験と知識から熱く語ります。
ゲスト:池田一男さん(元らいとぴあ21青少年指導員)
日時:2018年3月8日(木曜日)午後6時半から8時
場所:らいとぴあ21一階展示コーナー
参加費:無料
定員:20名、要申込み(らいとぴあ21 tel.072-722-7400)
2018年冬号プログラムはこちら
http://raipinews.seesaa.net/article/455799365.html
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