新年明けて初回のまなびカフェは、らいとぴあで3年前に開催していた「夜間学校」にもゲストでお越しいただき大好評を博した、大阪大学の佐伯和人先生!
これまで「明日から月の見え方が変わるおはなし」や「台所でできる火山の実験」の授業をしてくれましたが、今回は鉱物鑑定入門!
会場には先生が持ってきた数々の鉱物が並んでいました。
受講生に配られた謎の石の鑑定に挑戦する前に、鉱物の基礎知識から。
先生が用意してくれたレジュメに沿って、鉱物と岩石の違いや鉱物の強度、割れ方、色や光り方を学びます。
まずは鉱物と岩石の違い。
鉱物は天然の無機物で、物理的性質や化学組成がほぼ一定のもの。岩石は鉱物の集合体。墓石に使われるカコウ岩は石英や黒雲母、斜長石などが集まってできている代表的な岩石です。
次に鉱物の強度。
鉱物の強度には、硬さを計る硬度と割れにくさを計る靭性があります。先生が見せてくれたモース硬度計は硬度が小さい順に滑石・石膏・方解石・蛍石・燐灰石・正長石・石英・トパーズ・コランダム・ダイヤモンドの10種類の鉱物で硬度を計るものです。ダイヤモンドはお高いのでホームセンターで買えるガラス切りの先端についたちっちゃいちっちゃいダイヤモンドを使います。今回は硬度5.5くらいのくぎを使いました。謎の石がくぎで引っ掻いて傷つくなら硬度は5.5以下。傷がつかないならくぎ以上の硬度を持つということになります。靭性は衝撃に対しての強さを表すので、ダイヤモンドはモース硬度計で一番高い硬度10ですが、靭性は高くないのでハンマーで叩くと割れてしまいます。ちなみに、硬度も靭性も高い鉱物はカーボナードというダイヤの変種だそうです。
そして鉱物の割れ方。
鉱物には「劈(へき)開(かい)」という、平面で決まった方向に割れる性質があります。
劈開面以外では割れることがないことを「劈開きわめて完全」と言うそうです。この劈開という性質の強さによって「劈開完全」や「劈開明瞭」「劈開なし」と分かれます。自然金や自然銀、自然銅などのびる性質の鉱物は割れないものになります。カーボナードは靭性が高いので劈開がありません。
先生が実際に方解石を割って見せてくれたのですが、方解石は劈開きわめて完全な鉱物なので、大きい欠片も小さい欠片も平面が平行四辺形に割れていて不思議でした。
そして鉱物の色。
鉱物には、鉱物を構成する主成分の色がある自色と、鉱物中に含まれる不純物など主成分以外の原因により色がでる他色があります。鉱物の色が自色なのか他色なのかを調べるには、素焼きの板を鉱物で引っ掻いたときに板につく「条痕色」で調べます。自色であれば粉末状になっても色は変化しませんが、他色であれば粉末状になると色が変化するのです。
他色の代表的な例は水晶に鉄が含まれるアメジストやシトリン。コランダムにクロムが含まれるルビーなどがあります。
最後に鉱物の光り方です。
鉱物の光り方には大きく分けて不透明で全く光を通さない金属光沢。透明感があって光を通す非金属光沢があります。非金属光沢にはガラスのように冷たい光り方をするガラス光沢や真珠のようにやわらかい光り方をする真珠光沢などがあり、光り方を感覚的にあらわしています。真珠光沢の白雲母は薄い膜を何枚も重ねたような鉱物ですが、本当に真珠のような虹色のやわらかい光り方をします。
ここで先生から宝石のついたアクセサリーを買うときのアドバイス。お店で買うときは必ず身につけて輝きをチェックするのが、良い品を選ぶコツ。実際に身につけると、照明にごまかされない宝石自体の輝きをチェックできるそうです。
さて、いよいよ鉱物鑑定にチャレンジ!
『小学館の図鑑NEO 岩石・鉱物・化石』に掲載されている鉱物を見分けるチャートを見ながら、謎の石を鑑定します。
謎の石のほかに並べられた輝安鉱や黄鉄鉱、孔雀石に蛍石に橄欖石などにも触れながら鑑定してきます。受講生たちそれぞれ手にとってくぎで引っ掻いてみたり、条痕色をみてみたり、チャートとにらめっこしながら色んな鉱物に触れていきます。
私も謎の石の鑑定にチャレンジ!チャートに沿って、まず金属光沢があるか?→なし。条痕は?→白に近い。外形は?→毛状・針状・せんい状以外の形。劈開は?→はっきりしない。色は?→こい色。くぎで傷つく?→つかない。チャートを見ながら10種類くらいまで絞り込めたものの、謎の石の正体がわかりません。ここでタイムアップ!
最後に先生から正解発表。謎の石の正体は…橄欖石!ペリドットという8月の誕生石でも知られています。透き通った緑色の石です。確かに絞り込んだ10種類の中にもありました!チャートすごい。このチャートの作成の参考資料になった堀秀道さんの『楽しい鉱物学』(草思社)は先生おすすめの名著(残念ながら絶版)。大学の授業で使う石はこの堀さんから仕入れているという鉱物学界の有名人だそうです。ご興味のある方は古本で探してみてください。
鑑定中に先生が河原で拾った石英を見せてもらいましたが、見た目は河原によくある石なのに割ったその中には石英の結晶が光っていてとてもきれいでした。きれいだし、とても不思議な気持ちになりました。秋の山の紅葉や雪の結晶、朝焼けや夕焼けの空。自然が生み出すものって美しいものが多いです。
色んな要素が自然界の環境の中でたまたま重なった、それがどうしてこんなにも美しいのか、不思議です。ある受講生が「地球は贅沢なんですね」と言っていましたが、その地球に生きてたくさんの美しいものを見せてもらっている私たちも贅沢だと思いました。
佐伯先生の授業はいつも、地球という惑星の神秘を感じられて豊かな気持ちになります。今回も鉱物という自然界の不思議に触れた楽しい授業でした。
授業が終わってからも、それぞれの余韻を楽しんだり、先生に質問するみなさん
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雲母は平面で割れるので、剥がすのが楽しくてやめられない
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「仮想通貨ってなんだろう?-本当は怖い?ビットコイン-」
話題の仮想通貨の中でもビットコインはみんなが欲しいので値上がりしたり盗まれたりする事件も多い通貨。
お金の歴史の中で仮想通貨がどのような意味を持っているのか考えます。お金がわかればビットコインも怖くない!
ゲスト:安木新一郎さん(京都経済短期大学准教授)
日時:2018年2月22日(木曜日)午後7時から8時半
場所:らいとぴあ21一階展示コーナー
参加費:無料
定員:15名、要申込み(らいとぴあ21 tel.072-722-7400)
2018年冬号プログラムはこちら
http://raipinews.seesaa.net/article/455799365.html
まなびカフェFacebookイベントページができました
https://www.facebook.com/events/1677909548938446/
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ゲスト:安木新一郎さん(京都経済短期大学准教授)
日時:2018年2月22日(木曜日)午後7時から8時半
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参加費:無料
定員:15名、要申込み(らいとぴあ21 tel.072-722-7400)
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