ご存知の方もおられると思いますが、人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果として2016年に差別を解消するための3つの法律が相次いで施行されました。
1つ目は、障害者差別解消法(障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律)です。この法律は、障害者基本法の基本的な理念にのっとり、全ての障害者が、 障害者でない者と等しく、基本的人権を享有する個人としてその尊厳が重んぜられ、その尊厳にふさわしい生活を保障される権利を有することを踏まえ、障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本的な事項、行政機関等及び事業者における障害を理由とする差別を解消するための措置等を定めることにより、障害を理由とする差別の解消を推進し、もって全ての国民が、障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に資することを目的としています。
2つ目は、ヘイト・スピ―チ解消法(本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律)です。この法律は、本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消が喫緊の課題であることに鑑み、その解消に向けた取組について、基本理念を定め、及び国等の責務を明らかにするとともに、基本的施策を定め、これを推進することを目的としています。
3つ目は、部落差別解消法(部落差別の解消の推進に関する法律)です。この法律は、現在もなお部落差別が存在するとともに、情報化の進展に伴って部落差別に関する状況の変化が生じていることを踏まえ、全ての国民に基本的人権の享有を保障する日本国憲法の理念にのっとり、部落差別は許されないものであるとの認識の下にこれを解消することが重要な課題であることに鑑み、部落差別の解消に関し、基本理念を定め、並びに国及び地方公共団体の責務を明らかにするとともに、相談体制の充実等について定めることにより、部落差別の解消を推進し、もって部落差別のない社会を実現することを目的としています。
これら3つの法律が日本国憲法の原理に基づいていることは言うまでもありません。
憲法第12条には「この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によって、これを保持しなければならない。」とあります。差別のない共生社会のまちづくり、暮らしづくりをすすめなければ理念だけの骨抜き法となってしまいます。
らいとぴあ21は、誰もが安心していきいきと暮らせる地域づくりと、あらゆる差別の解消・人権意識の向上をめざして、子どもからお年寄りまでを対象に、さまざまな暮らしのサポートと人権文化の発信拠点としてこの三法を具体化していけるような事業も求められていると思います。
憲法13条には「全ての国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。」とあります。国民とは地域生活においては住民であり、公共の福祉はその地域の共生社会づくりの水準によって規定されると思います。
次年度(4月)からの事業実施にむけて、らいとぴあ21のもつ機能(相談・情報発信・地域交流・実態調査研究等)を発揮しながら、地域で支えあう多様な取組みができるよう準備していきたいと思います。

らいとぴあ21館長 井原芳朗