連続セミナー企画『差別する心を科学する』最終回の第3回目が12月10日に無事終わりました。
参加していただいた皆様、ありがとうございました。
最終回である第3回目は「差別・偏見から自由に生きる」をテーマに2名の大学院生にそれぞれの研究を発表して頂きました。
エイズに対する偏見の研究をしている大澤さんからは、「イメージの形成は、ポジティブな情報より、ネガティブな情報のほうが意識に上がりやすい」ことや、リバウンド効果(「○○なんて思ってはいけない」と考えていると逆に偏見意識を強く表してしまう)などの話がありました。
また、研究発表で「良いイメージの背景情報は感染原因別の異なる悪いイメージとの結びつきを弱めることができるのか」というものがあり、結果、良いイメージの背景情報を伝えていると悪いイメージへの結びつきが弱まったこともあり、「伝えていく情報の精査をした上で、伝える情報に【明るい情報】を組み合わせていくことでイメージを変えることができるのでは」と教えていただきました。
2人目の蒋さんは自身も中国からの留学生であり「留学生に対する偏見・差別について」お話していただきました。
お話の中で「適応戦術」というものがあり
「分離」・・・自身の文化に強い愛着があり、異文化に自分が属しているとはあまり思っていない
「同化」・・・完全に異文化の価値観を持ち、自身の文化への愛情を捨てようとする
「周辺化」・・どちらの文化にも属していない、文化的に無所属
「統合」・・・自身の文化と異文化を心にうまく受容し、両方の文化に強い愛情を持っている
の4つのお話をしていただきました。
その中でも、「統合」という適応戦術を取っている留学生は同化や分離より被差別感を低く感じるているということを統計学的にお話していただきました。
アンケートでは、
「リバウンドの話が今まさに経験していることと重なり、出口が見えてきた気がする」
「マイノリティとマジョリティがどのように共に生きていくのか、差別・偏見なく平等に生きていくのか、その難しさを垣間見た気がする」
「少しでも差別がなくなるには、どうしたらよいか、まずは知ることが大事だなと思わずにはいられない」
など多くの感想がありました。
全3回を通じて、「これが差別・偏見をなくすものだ!!」と断言できるものはなく、少しモヤモヤした気持ちを持ったままの方もいらっしゃるかもしれません。
それほど差別や偏見をなくすことは難しい。
「誰もが差別意識を持っていて、無意識の中で差別をしてしまっている」こともある・・・ということにまず気づき、正しい知識を知ること、自分の差別心と向き合うことが、小さな1歩かもしれませんが、差別・偏見がない世界への道なのではないかと思います。
差別に関するあらゆる問題も「自分に関係がない」ことはない。
だって、【自分は差別をしないと誰も言い切れないのですから】
11:33