今回のまなびカフェは、NPO法人「フォロ」の事務局長で若者の居場所「なるにわ」のコーディネーターでもある山下耕平さんと「なるにわ」参加者の谷口玲央奈さんのお2人のお話でした。「フォロ」は大阪市内でフリースクールを開いていて、土曜日は18歳以上の人がゆるやかにつながる場として、「なるにわ」という居場所を開いてます。そこで、さまざまな活動や当事者研究を展開しています。まなびカフェでは、数ある活動の内のいくつかを紹介していただきました。
まずは「ひきこもるデー」について。名前からしてなんともインパクトのあるタイトルですが、これは新年度で何かと変化にさらされる4月1日、ゆっくりひきこもって一息つきましょう、という日だそうです。すでに「世界的な記念日」だそうで、ひきこもるデーを意図せずとも自分の家や部屋で過ごしている人は全員参加者としてカウントされるので、今年の参加者は国内だけで最低でも54万1000人(推定)だったそうです。
お次は「くさ研」について。くさ研とは、生きづらさというほどではないけど、日頃感じるめんどくさいことを井戸端会議的におしゃべりする会です。過去、現在、未来のめんどくさいことをまとめて「くさごと」として、サイコロをまわしてそれぞれの「くさごと」を話します。そのみんなの「くさごと」を水に溶ける紙に書き、最後に側溝に文字通り流してしまうのだそう。お2人がパーソナリティーを務める「なるにわラジオ」でも「くさごと」を募集しており、くさ研でもリスナーからの「くさごと」を共有したり、その逆でくさ研で話された「くさごと」をラジオで発信したりもしているそうです。
なかなかユニークな活動に会場からもちょこちょこと笑いが漏れてくる中、次はこれまた癖の強そうな「ノーラベル賞」のお話。聞いた時点で「あれ?」と気付くように、まさにノーベル賞のパロディです。去年はアメリカの歌手のボブ・ディランが、文学賞の受賞を発表されたのに本人と直接連絡がつかないと話題になりました。お2人はここからボブ・ディランの心中を察し、ラベルを貼られたくない、つまり勝手に自分のことを評価されたり価値をはかられたくないんだろうと「ノーラベル賞(No Label Prize)」の授与を決め、ボブ・ディラン本人にツイッターで連絡したそうです。授与式は「本家」のノーベル賞と同じ日に設定しフォロで待っていたそうですが、なぜか現れず。でもお2人は、賞状もメダル(観光地によくあるお土産を加工した世界で一つのオリジナル!)も用意し、授与に期限はないと広い心で今後もボブ・ディランの訪問をお待ちしているんだそう。
その後も「日陰」が大事だという話(テレビでも深夜枠からゴールデン枠に進出するとつまらなくなる)、「2番手理論」(自分にとって大事な1番手を共有しようとすると揉めごとになりやすいので、2番手でゆるくつながって、1番手は秘仏開帳みたいにときどき出す程度にしておくほうがいい)など、名前からも滲み出る、濃度の濃いお話が続きました。話の内容の切れ込みの鋭さや濃さとは反対に、会場はどこかゆるゆると和やかな雰囲気もあり、なんとも不思議な空間となっていました。いつもの「なるにわラジオ」の収録は45分間、今回のまなびカフェでのお話の枠は長すぎてネタ切れ&話し疲れたそうで、「今日のお話を再放送しますね」とマイペースに、でも強引に最後は同じ話をまさに目の前で「再放送」されていました。
お2人のマイペースなぐだぐだ感に多少の衝撃を受けながらも、自然体なその様子にはとてもほっこりもしました。ゆるく穏やかな雰囲気ながらも、いろいろな活動のネーミングや洞察ポイントにははっとさせられるものも多く、緩急のバランスが絶妙だなと感じました。ここでは紹介しきれなかった活動も「なるほど、確かに」とスッと腹に落ちるものがありました。
もっとお2人の話を聞きたい、自分も活動に参加してみたい、と思った方はぜひフォロを訪れてお2人と会ってみてください。それは「くさごと」だからいいやとそっと横に置いておくもよし、それを熟成させて次のくさ研に参加してみるもよし。ぐだぐだマイペースにいきましょう。
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次回の「まなびカフェ」はこちら
2017年12月7日(木曜日)午後7時から8時半
【はたらくを考える】
能勢で農家になったワケ
場 所:らいとぴあ21 1階展示コーナー
参加費:無料
ゲスト:べじたぶるぱーく 植田歩
ヴィレッジヴァンガードや宅配ドライバーなどの仕事を経て農家というはたらき方に行きついた植田さん。「野菜の再発見」をコンセプトにおいしさや楽しさを発信する植田さんに生業としての農、野菜のアレコレ、農家の子育てなどいろいろ聞いちゃいましょう!
◆らいとぴあ21「まなびカフェ」とは?
http://raipinews.seesaa.net/article/453392322.html