<レポート>2017年10月26日まなびカフェ 【はたらくを考える】僕が「ニッチでセンチなおさがり古本屋」を始めた理由



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まなびカフェ第3回は、本好き・本屋好きは知っている『ぽんぽんぽんホホホ座 交野店』の店長さん、ぽんさんこと村上豪さんが先生でした。
交野市は大阪の北東部、ひらパーで有名な枚方市のお隣にあります。人口は8万人に満たないくらいで、だいたい箕面市の人口の半分。ぽんさん曰く「店がない」ところです。そんな交野になぜ、大阪・中崎町にあるようなサブカル系の古本屋を開店させたのか。座談会のようなアットホームな雰囲気の中、ぽんさんのお話は和やかに始まりました。

若い頃は芸人を目指していたというぽんさん。芸の道を諦めた後、「ヴィレヴァン」の愛称で親しまれているサブカル系本屋の走り『ヴィレッジヴァンガード』や、本屋好きが必ず通る道『スタンダードブックストア』、マニアの天国『まんだらけ』などで働いてきたそう。ぽんさんが働いていた頃の「ヴィレヴァン」は、社員1名(店長)・アルバイト4名ほどの店舗運営で1年毎に店長が変わるシステム。新任の店長は前店長と比べられバイトさんに値踏みされ、毎日「ヴィレヴァン」全店舗の売上と比較され月の残業時間は300時間…と、お話を聞いているだけで倒れそうな働き方をしていたのだとか。漆黒のブラック企業(ぽんさん談)でも仕事自体は楽しく、ぽんさんなりの勝ちパターンやバイトさんとのコミュニケーション術を編み出して店を作り上げたと語る姿に「ほんとにやりがいはあったんだろうなぁ」と感じました。
しかし当然体を壊してうつ・パニック障害を発症、ヴィレヴァンを退社後スタンダードブックストアに勤めますがその時期にお連れ合いを亡くされたそうです。この、死を身近に感じた経験がその後の起業へと結びついているようでした。

アニメ・漫画・同人誌・オカルト・玩具など、各ジャンルの専門性が求められるまんだらけでの勤務を通して「物を見る目」を養ったぽんさん。3人の子どもを持つ親として子育てのことを考えたこと、店舗で使う什器がたまたまま揃ったことで「タイミングが合った」と、2013年に地元交野市でホホホ座をオープンさせました。

ただの本屋さんではなく、雑貨も扱う古本屋にしたのはぽんさん自身がずっと雑貨のある本屋で働いてきたことと、本の商いだけでは成り立たない日本独特の出版流通事情があったようです。

日本の新刊書店は出版社から直接本を仕入れるのではなく、取次を介して仕入れをします。書店自ら仕入れをせず、売れ残れば返品もできるというメリットはありますが、どの店にどの本をどれだけ配本するかはすべて取次が決めるため、書店ごとの特色が出せず、何より本を1冊売って書店が得る利益は代金の2割。それに比べて古書は、ブックオフを利用された方はご存知のように還元率が高いのです。

ホホホ座は店舗での販売だけではなくオンライショップやイベントへの出店などで稼ぎを得ているそう。
「街づくりなんて熱いことを考えているわけじゃない」と言いつつ、ホホホ座を交野の外からもお客さんが来る店にしたいと言うぽんさん。でもやっぱり売上は欲しいので(笑)、ニッチな本屋というスタンスは守りつつも、絵本を外から見えるところに置いてみたり野菜を置いてみたり、地元の人が立ち寄れる工夫もしているそうです。

その後参加者から出た、市場原理から逃れてインディーズであり続けるには?といった質問や、らいとぴあスタッフが抱える倉庫問題の解決策なども話し合われて少人数ならではの近くて深い交流ができました。

『新しいものを作るのではなくて、すでにあるものを扱うこと』
『マイナス要素の多い土地であえて店を開くこと』

ぽんさんは「タイミングが合ったから」「上司に怒られたくなかったから(笑)」と起業の理由を挙げていましたが、淡々とした語り口の奥にはぽんさんなりの思想や信条があるのでは…と感じました。大変だけれど、生き方としての起業もありだなぁと思いました。

「長女が体調不良のためお休みです」「次男の運動会のため14時からオープンです」
お店のフェイスブックに投稿されていた営業情報を見て、まだ行ったことのないホホホ座交野店、もう好きになっています。

自分が大切だと思うことを生活や仕事の中心にして生きることができるって、本当に素敵なことなんだなと改めて思った時間でした。


まなびカフェブロガー:M

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次回の「まなびカフェ」はこちら

2017年11月18日(土曜日)午後2時から3時半

【はたらくを考える】
スペシャルJAZZライブ ~ジャズボーカリスト×ウイスキーテイスターという生き方~
場 所:らいとぴあ21 1階展示コーナー
参加費:無料
ゲスト:石田裕子さん(ジャズボーカリスト、サントリースピリッツ株式会社山崎蒸留所シニアテイスター)

神戸ジャズボーカルコンテストグランプリ受賞後もサントリーの仕事と平行してボーカリストとしても引っ張りだこの日々を送る石田さん。そんな彼女の生き方からは人生折々のターニングポイントが。お話を聞き、後半はジャズライブをお届けします。

◆らいとぴあ21「まなびカフェ」とは?