10月6日まなびカフェ報告「ムスリムYouTuber~イスラームとラップ・ミュージック

この日はご自身もムスリム(イスラム教徒)であり、
イスラムにまつわるいろいろな研究もされているウスマンかつらさんが講師でした。

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まずは「みなさんが想像するムスリムのイメージは?」という問いからスタート。
なんとなくムスリムは中東に多そうなイメージを持ちがちですが、
実際はアジア圏、特に東南アジアに多く、その数は中東の約3倍だそうです。
ムスリムの女性が頭に巻いている

ヒジャーブ」と呼ばれる布も、

ムスリムがマイノリティの国では周りの目がきになるからと着用しない人もいる一方、ファッションやアイデンティティの証として積極的に着用する人もいるそうです。

中には逆に着用しないことで周りの目をきにせずに信仰が保てる、と考える人もいるそうで、ヒジャーブの着用一つ取っても一概には言えない色々な解釈があるのだと感じました。


そしていよいよ今回のテーマであるラップ・ミュージックです。

ヒジャーブと同じく、音楽のあり方に関しても様々な解釈がなされているそうで、様々な立場のミュージシャンが紹介されました。


まずはDeen Squadというカナダのラップユニットの曲『Muslim Man』。

この曲のミュージック・ビデオでは、ムスリムが聖地であるメッカを巡礼するときにも着用する白い服を着た二人組の男性が、

「俺はムスリム」「俺はテロリストではない」と書いたプラカードを掲げ、

現代的なリズム楽器の音に乗せたラップをカナダの街中で披露しています。

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Deen Squad - Muslim Man (Official Music Video)

曲、ビデオ共に完成度が高く、英語がわからなくてもノリノリな感じが伝わってくるのですが、
このラップという表現方法についてウスマンさん曰く、
イスラム教の聖典であるコーラン自体が韻を踏んでいるので
同じく韻を踏みながら歌うラップとムスリムは文化的に親和性が高いそうです。

ビデオはDeen Squadの二人が道行く人々といっしょに踊り、記念撮影したりと終始ハッピーな雰囲気に包まれていますが、
そこで終わらないのがラップという文化。
このDeen  Squadに真っ向からディス(ディスリスペクト、否定すること)をぶつける別のラッパーの曲が紹介されます。

Omar Esa - Deen Squad ft. Ali Dawah & Musa Adnan (Official Nasheed Video)

Omar Esaというラッパーの『Deen Squad』という曲は
先程とは打って変わって一つずつがとても重厚な音と共に、
「あいつらは楽器を使って音楽そのもののことをやっている
音楽を許す、楽器を許すときたら、次は何を許すんだ?」と、
その曲名通り、全編Deen Squadへのディスが展開されます。(しかし、一通り持論を述べた後で、最終的には彼らが正しい訳ではない、私たちが正しい訳ではない、アッラーフ(神)のみが正しい。と単なるDeen Squadへの批判ではなく、神の言葉に沿った正しさを求めていることがわかります。)

続いて、楽器やいわゆる音楽を使うDeen Squadと、楽器を忌避するOmar Esaの中間的な立ち位置のKhāled Siddīqの曲が紹介されました。


Khāled Siddīq - "Rise & Fall" (Official Nasheed Video)

https://www.youtube.com/watch?v=4z7Hny_bY0k


ここでポイントとなる音楽と楽器ですが、

実はこの曲の後ろで流れている音は、人の口から発した音のみを使うヒューマンビートボックスで作られているそうです。曲の冒頭にはわざわざ「この曲には楽器は使われていません。全て人の口からの音です。」という注意書きが添えられています。


このような注意書きの背景には、イスラム教における音楽や楽器の定義とその是非についての長年の議論があるそうです。

コーランでは特に禁じられてはいないものの、ムスリムが規範し遵守すべき行いを伝える第二の聖典『ハディース』では「ダフ」と呼ばれる片面太皷を除き、やや曖昧に「楽器」の使用が禁じられているそうです。

しかし、法学派や学者によって採用するハディースが異なり、議論のプロセスも異なるため、イスラム教全体として一つの結論が出せないという、とても複雑な背景があるとのことでした。


そんなKhāled Siddīqも最近の曲では楽器を使ったり、楽器を忌避するOmar Esa

楽器を使うことの是非について自身のFacebook上で皆に質問してみたりと

揺れ動きながらも要は各々で考えていけばいいんじゃないか、という立場を取っているそうです。


やはりイスラム教だけではなく、宗教的なことやそこでの感覚は、
その宗教を信じていない身では良く分かりません。
でも、そのよく分からない部分も含めてその都度揺れ動きながらも各々で考えていくことができれば
また新たな音楽や文化が生まれたりするのかもしれないなと思いました。

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次回の「まなびカフェ」はこちら

2017年11月2日(木曜日)午後7時から8時半

【世界をのぞき見!】
ローカルな生活体験記 〜フィリピンとモンゴル編〜

場 所:らいとぴあ21 1階展示コーナー
参加費:無料
ゲスト:中嶋嘉伸さん(世界を股にかけるシニアの星)

リタイヤ後の初めての海外旅行に魅せられ、1年の大半を海外で過ごす中嶋さん。アジア各地で現地や先住民の人と過ごす中で見えて来る地域の現状や日本との類似点などを写真と一緒に語ります。

◆らいとぴあ21「まなびカフェ」とは?

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