<報告>12月12日らいとぴあ夜間学校・大学部『いろいろは』

苺、林檎、さくらんぼ。これらの果物は食べ頃になると“赤く”色づきますが、その“赤”は全て同じ“赤”でしょうか?

12月12日のらいとぴあ夜間学校大学部では、「いろいろは」と題して、大阪国際大学の森友令子先生が、正しく色のいろはを教えてくださいました。

授業の始まりに受講生を集めて行った実験では、人間が見ている色の世界は人それぞれ違うことを知りました。
「何色に見えますか?」と出された紙は黒なのですが、「これが本当の黒です」と出された紙と比べると、先に出された紙にはほんのり色味があることに気づきました。
ほかにも、黒に近い緑、青、赤など、1色だけで見ると黒なのに、本物の黒と比べて観察するとはっきりと色が見えてくるのが不思議でした。
逆に白色で同じ実験をすると、「白」でまとめられる色でも黄味がかっていたり、くすんでいたりと、同じ色でも観察すると全く同じではないことが見えてきます。
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 ほかには、白い台紙に黒で線を書いた独楽を回すと色が見えてくるという実験もありました。
「ベンハムのコマ」というらしいのですが、白黒のコマなのに回転すると色が見えてくるのです。
紫が見えるという人もいましたが、私の目には黄緑と赤が見えました。
このコマは、人によって見える色が違ってくるそうです。自分の隣に立つ人が、自分と同じ色を見ているとは限らない、ということがよくわかる実験でした。

もうひとつ、同じ色でも組み合わせる色によって見え方が違うという実験もしました。同じ色の色紙を、それぞれ違う色の台紙に乗せて見ると、同じ色なのに色味が違って見えるのです。
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ペットボトル飲料に付いていたおまけの巾着袋を、クリーム色のパッケージに入った状態で袋の透明の小窓から見えている色で選び、袋から取り出すと色の印象がガラッと変わりました。
パッケージに入った状態ではかわいらしい赤だったのに、袋から出して見るとキツめの赤になったのです。パッケージのクリーム色が赤色の印象を柔らかくしたのでしょうか。

先生は「色は響き合うもの」と言いました。
楽器と同じで、組み合わせる楽器によって、奏でられる音楽の印象が変わるように、色も、隣り合う色によって見え方が変わっていくのです。
だから、洋服などで色を合わせるとき、自分が大切にしたい色に対して周りの色を動かす、ということを意識すると、色味を綺麗に見せることができるようです。
「好きだけど、自分には合わない」と思っていた色も、髪の色、肌の色、服の色など、全体の色のバランスを考えて使えば、似合う色になるかもしれません。

森友先生のお話の中で印象的だったのは、「自然界には美しい色彩しかない」という言葉です。
汚い色味は人工物が生み出すという話に、季節ごとに美しく色味を変える箕面の山並みを思い浮かべて確かになぁと思いました。
色の世界は、脳と目と心で、見る、あるいは視る、あるいは観る、あるいは魅ることで広く深く拡がっていくようです。

単に色を「好き・嫌い」で捉えるのではなく、「快・不快」で捉えてくださいという先生のアドバイスを参考にして色の配色を意識すれば、快く感じる色が増えて、生活の色彩も豊かにできるかも…と思いました。

(レポート:受講生モト)