<報告>11月17日らいとぴあ夜間学校・大学部『日本とロシアの関係』

11月17日のらいとぴあ夜間学校大学部の授業は、過去の夜間学校で「シジミの生態学と経済学」「タカラガイ:古くて新しい地域通貨」の授業が好評だった京都経済短期大学の安木新一郎先生による「日本とロシアの関係」でした。
ロシア経済がご専門の安木先生が日本とロシアの経済・外交関係を面白おかしく解説してくれ、笑い声も上がる和やかな授業になりました。

DSC_0537.JPG


安木先生はシベリアの人がその寒さに驚くロシアのウラジオストクというところで働いていたこともあるロシア通。
先生によると日本とロシアは敵対国でありながらも、経済的には互恵関係にあると言います。どういうことでしょうか?

まず、ロシアのセレブは日本食が大好き。
ロシアの首都モスクワには1000店ほどの寿司屋があり、カフェですらお寿司が食べられるそうで、週末になるとこぞって寿司屋に出掛け、箸を使ってキッコーマンの醤油で寿司を食べ、アサヒスーパードライで乾杯するのがロシアセレブの間では一種のステータスになっているそうです。
1粒5千円のあまおう苺や日本でも話題になった四角いスイカ1玉5万円、鳥取県産のただのジャガイモ1個5百円が飛ぶように売れ、紙おむつの代表メリーズは日本の5倍の価格でありながら売り切れが続出したのだとか。

「日本産」は高級ブランドとしてロシアの人々に受け入れられているようです。
ほかにもたばこ産業大手のJTがロシア国内で販売されるたばこの3分の1を占め、自動車産業では日系企業がロシア国内で自動車生産をしていたりと、ロシアでは日本企業が頑張っていたりします。
逆に日本はロシアから原油や天然ガス、木材などを輸入していたり、ロシア200海里水域では日本の漁船がサケ・マス漁を行っていたりと、経済面で見ると日本とロシアは良い関係が結べているように見えます。

ロシアの大統領プーチン氏自身も実はかなりの日本通(安木先生談)と見られていて、大学時代は東洋学部に在籍し、柔道・空手が好き。
今では幻になった2千円札が発行された時には「あんなドロドロの恋愛物語が国の紙幣になっていいのか」と発言したという話もあり、源氏物語の内容を知っているほど日本文化に詳しいらしいです。
プーチン氏の2人の娘も日本が好きでよく来日しているらしく、安木先生曰く「プーチンも日本に行きたいと思ってるんじゃないかなぁ」だそうです!

経済面では良きパートナーで国の代表も日本に親しみを持っていそうなのに日露関係が深まりそうにないのはどうしてなのでしょう。
それは近年のロシア国内のGDP成長率の低下やウクライナやドンバスでの紛争に対する日米欧の経済制裁による景気低迷、そして日本とアメリカの関係に理由がありそうです。
懐具合が良くないと高価な日本製品への購買意欲が低下するの当然で、不景気によって日本企業だけでなくロシアで展開する外国企業は軒並み苦戦を強いられているうえに、各国の経済制裁に対するロシア側の報復がそれに拍車をかけているようです。
日本のサケ・マス漁に対しても漁獲割当量が減らされ、2016年からはロシア水域での漁自体が禁止されてしまいました。
外交問題についても日本がアメリカと日米安全保障条約を結んでいるため、アメリカと対立しているロシアにとっては日本も十分に敵対国となっているのです。
日本人の私が考えるより外国では「日本とアメリカはセット」という意識が強いのかもしれないと思いました。今でもほぼ毎日、ロシア空軍による日本の領空侵犯が行われているそうです。

資源大国のロシア、技術大国の日本として経済面でも仲良くなれそうだし、大統領もその娘さんも日本文化が好きみたいなのだからもっと仲良くなれそうなのにもったいないことだなぁと思いました。
諸々の外交問題はちょっと横に置いといて、日本酒片手に寿司でもつまみながらこれからの2国間について語りあえば、案外良い話がまとまりそうな気がすると思うのは浅はかすぎるでしょうか。
でも日本は豊かな食文化と加工技術を武器に各国の胃袋をがっちり掴んで仲良くする胃袋外交を展開していけばいいんじゃないかと思うのです。みんなで美味しいものを食べるってとっても平和ですよね?なんて、ロシアでの日本食の活躍ぶりを聞いて空想してみたのでした。

(レポート:受講生モト)

DSC_0538.JPG