2/10(火)「らいとぴあ夜間学校」レポート
◉2限(大学部)『人はなぜ助け合うの?生物進化からわかること』
講師:長野八久先生(大阪大学)
らいとぴあ夜間学校、大学部の第7回は「人はなぜ助け合うの?生物進化からわかること」。第5回の「ニホンザルの社会」から少し動物の種類の幅を広げて勉強しました。
今回の授業で出てきたキーワードは4つ。「身体知」「共感」「利他的行動」「心の理論」。
1つ目の「身体知」は自分の体に関する知識のこと。海のタコが岩場など周囲の環境に合わせて自分の体の模様を変えられるのは、自分の体がどんな発色をしているのかという身体知があるからだとか。周囲の環境を自分の体の一部として考えることも身体知で、動物が自分の体の一部のように道具を扱うのも身体知です。
2つ目の「共感」は相手の心に入り込むこと。感電したネズミを別の兄弟ネズミが見ると体を悶えさせるという実験があったそうですが、これは共感からくる身体知なのだそうで、人間が歯医者さんで他人の治療音を聞いて自分が治療されているように感じるのと同じだそうです。
3つ目の「利他的行動」は相手のために自分を犠牲にして取る行動のこと。アンパンマンが、力が無くなるのも構わずおなかを空かせている人に自分の顔を差し出すのは利他的行動です。「この行動は幼児が見ても疑問に思わないほど人に生まれつき備わっている能力なんです。」と先生に言われて、確かにアンパンマンの行動を理解できないと思ったことはないなぁと気づきました。社会性動物のミツツボアリにも見られる行動で、仲間のために一生蜜を貯める壺役に徹するアリがいるそうです。
4つ目の「心の理論」は身体知がなくても相手の心に入り込める能力のこと。これは人や類人猿に見られる能力で、チンパンジーには2匹の子供を抱えて道路を渡れない母親チンパンジーをオスのチンパンジーが子供を1匹抱えて渡る手助けをした事例があるそうです。相手の行動や表情から相手の状態を察する力…先ほどのアンパンマンは心の理論でもって利他的行動を取ったことになりますね。
キーワードを順番に見ていくと「身体知」で自分と周囲の環境を理解して「共感」することを覚え、社会を形成する中で「利他的行動」を取るようになり「心の理論」を発達させてきたように考えられました。進化の過程で受け継がれてきた能力を、人特有の想像する力で磨き上げて時に「おせっかい」とまで言われる思いやりに発展させてきたヒトってすごい。でもそうやって助け合わないとヒトは生き残れない…ということかもしれませんね。
最後に「100万回生きたねこ」という有名な絵本を受講生たちで回し読み聞かせをしました。順番が来るのをドキドキして待ちながら小学校の国語の時間に戻った気分でした。先生から「100万回生きたねこはどうしてもう一度生き返らなかったのか、考えてみて」と宿題を出されたので、ヒトの特殊能力をフルに使ってじっくり想ってみます。
(レポート:受講生モト)
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